家づくりの仕様で一番悩むフローリングに関して、成り立ち、樹種、塗装などの観点で解説します
今回は 「フローリングの成り立ちについて」です
フローリングにはどんな種類があるのか?
フローリングは家の印象を大きく変える重要な要素です。無垢板、突板、シート貼りなどさま様々な成り立ちのフローリングがあります。
フローリングといえば樹種を考えがちですが、フローリングの成り立ちによって風合いや機能性が変わってきますので、それぞれの特性を紹介します
無垢フローリング
無垢フローリングとはその名の通り原木をそのままフローリングに加工したもので、樹種本来の風合いを楽しめます。
厚みのある杉材などは柔らかく足触りがよいですし、オークなどの硬めの材料であればしっかりとした歩行感を感じることができます
また、無垢材の厚みを生かした、スクレイピング(表面を波打たせる)やブラッシュ加工(木目を浮き立たせる)、アンティーク加工(傷や削れなどの加工をする)などの特殊加工が可能で印象的な床面を作り出すことが可能です
良い点
- 樹木本来の風合いが楽しめる
- 樹木本来の柔らかさや硬さを感じることができる
- 特殊加工の床材が作りやすい
注意しなければいけない点
- コストが高い
- 樹木の乾燥収縮が大きいのでフローリングの幅が大きくとれない
- 床暖房等に対応していない場合が多い
- 樹種、グレードによっては節などが多く入ることがある
挽板フローリング
挽板フローリングは合板やMDFを基材にして表面に2㎜~5㎜程度の天然木を貼り付けたフローリングです。
3㎜~5㎜と聞くと薄いと感じてしまうかもしれませんが、機能上は十分な厚さであり、多少の傷で基材が見えることもありません。後述する「突板」にくらべて厚みがあるので、樹木の表情、凹凸感も楽しむことができます。
また基材に寸法安定性の高い合板やMDFを使用しているため、幅広のフローリングが作りやすく、床暖房などにも対応した商品も多いです。
良い点
- 樹木本来の風合いが楽しめる
- 厚みによっては特殊加工品も可能
- 幅広のものが多い
- 寸法安定性が高い(床暖対応品も多い)
注意しなければいけない点
- 無垢材ほどではないがコストが高い
- 無垢材に比べると選べる樹種が少ない
突板フローリング
突板フローリング合板やMDFを基材にして表面に0.3㎜~0.8㎜程度にスライスした天然木を貼り付けたフローリングです。
挽板よりは薄いですが表面は本物の木材なので、コストを抑えつつも天然目の木目などを楽しむことができます。
しかし、表面材が薄いので傷がついてしまった場合の補修が難しかったり、表面材を守るため塗装が塗膜系になってしまうことが多く、樹木の風合いという意味では、挽板フローリングに一歩引けを取ります
また、2P、3Pフローリングでは目地の入り方も突板フローリングならではの入り方になりますので注意が必要です。
2P、3Pフローリングとはフローリングの幅方向2~3枚分にまとめたものです。板を一枚づつ貼っていくよりも施工性は良いですが、柄のジョイントと目地が目立つという特徴があります。
良い点
- 天然木の木目を楽しめる
- 寸法安定性が高い(床暖対応品も多い)
- コストパフォーマンスが良い
注意しなければいけない点
- 傷や摩耗の補修が難しい場合が多い
- 表面材の薄さや塗装による質感の表現力不足
- 2P、3Pフローリングの場合は目地の立体感の不足
シートフローリング
シートフローリングは突板と同様に合板やMDFを基材にして表面に0.3㎜~0.8㎜程度の木目や石目がプリントされたシートを貼りつけたフローリングです。近年では木目や石目の再現度が高く、クォリティはとても上がっています。シートなので表面は比較的水に強く、メンテナンスも簡単なものが多いです。しかし柄のリピートや表面の光沢感などで違和感を感じる場合も多く、質感という意味では突板フローリングに引けを取る場合が多いです。
良い点
- 圧倒的にコストパフォーマンスが良い
- 寸法安定性が高い(床暖対応品も多い)
- 色柄が多い
注意しなければいけない点
- 傷や摩耗の補修が難しい場合が多い
- シートが傷ついてしまうと補修が難しい
- 柄のリピートが気になる場合が多い
まとめ こんな選び方がおすすめ
価格で考えると
無垢 ≧ 挽板 > 突板 > シート
となることが多いです
予算など様々な条件はありますが、ほかの部屋の床材のレベルを削ってでも、LDKなどは無垢や突板を使うと家の見せ場ができ、満足感が高いと思っています。全体的に予算を絞りたい場合も見せ場は最低でも突板程度にし、シートフローリングは機能性が必要な場所(水回りや子供部屋)に使用するのがおすすめです。
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