建築士として家づくりをお手伝いする中で学んだことや実体験をもとに、今回は「家づくりを考えるときに知っておきたい、土地購入から家を建てる流れ 」ついてお話しします。
家づくりを考えるとき、まず「どんな流れで土地を購入し、家を建てるのか」を把握しておくことが大切です。
今回は、私自身の実体験も交えながら、土地探しから設計、建築までの大まかな流れと各工程で押さえておきたい重要ポイントをまとめました。
おおむね下記の順序かとは思いますが各工程を行ったり来たり、または同時に考えたりということもあるかと思います
各セクションでの重要ポイントを下記に記載します
①予算を把握する
家づくりを始める前に、まずは現実的な資金計画を立てる必要があります。
・自分はどれくらいのお金を、どれくらいの期間借りられるのか
・月にいくら返せるのか(借りられる金額と、実際に月々返せる金額は別物です)
・家造りに使える自己資金はいくらか
・実際に使う予定のお金と、動かせるMAXの金額を把握しておく。
(計画を進めていると「ここに追加費用をかけるべきか」と迷う場面が必ず出てきます。あらかじめ余裕度を知っておかないと、適切な判断ができません。 )
②理想の住まいのイメージをふくらませる
「絶対に必要なもの」と、「暮らしの理想」を整理する
絶対に必要なもの
族構成や働き方に直結する条件です。
例えば…
- 人数分の個室がほしい
- 家で仕事するための書斎がほしい
- 家族が多いので洗濯室がほしい
- 通勤に車が必須なので駐車スペースが1台分欲しい
暮らしの理想
抽象的でも構いません。
例えば…
- リビングから広いウッドデッキに出たい
- 高い天井で空を眺めて暮らしたい
- 広い土間でDIYしたい
- リビングにピアノを置きたい
- 朝日の入る寝室で目覚めたい
これらを整理すると、理想の土地条件もおのずと見えてきます。
この段階から建築士に入ってもらうととてもスムーズだと思います
また余裕があれば「妥協できる要素」も書き出しておくと今後の検討の参考になるかもしれません
例えば…
- 買いだめはしないので大容量のパントリーなどは必要ない
- 洗濯ものはほとんど外に干さないので洗濯用のバルコニーは必要ないなど
(例)我が家イメージは
絶対に必要なもの
- 夫婦の寝室
- 最大3人で使える子ども部屋
- 駐車スペース1台
暮らしの理想
- 高い天井で空を眺めて暮らしたい
- 周りの家を気にしたくない
- 子供が大きくなってもみんなで集まれる余裕のある空間
妥協できる要素
- 個室スペースは最低限で良い
- 最寄り駅はあまり賑わっている場所でなくてよい(県内の主要ターミナル駅まで20~30分以内に出られればいい)
- 収納スペースは少な目で良い
- 旗竿地や段差地、変形敷地でも良い
- 敷地の眺望や環境さえよければ、駐車場は月極駐車場でも良い
③土地を購入する条件を決める
まずは大きなエリアを設定して詳細な条件で絞り込んでいきましょう
本当にいろいろな要素が絡むので迷いがちですが、「理想の暮らしを実現するには?」という問いかけを忘れないで条件を絞り込んでいきましょう
そうしないと「割安」という理由だけで、本来の理想とかけ離れた土地を選んでしまうこともあります
(例)我が家の土地条件優先順位
- 高台(周りの家が気にならない)
- 最寄り駅から徒歩20分以内(ぎりぎり歩ける範囲ならよい)
- 35坪の2階建てが建ち、車が1台停まる土地の大きさ
- 建蔽率低めで、できれば非防火地域(建蔽率低い=建物間の距離がとられている / 非防火地域(≒22条地域)=防火に関する規定が厳しくないため、大開口サッシを使用できたり、建築コストが割安になったりする・・・・詳細は別記事で解説します
という感じで探しました
また前提条件として、自分で自由に設計し施工者も選定したいため 建築条件付きの土地(建てる会社が指定されている)ものは除きました。
④不動産業者に依頼し土地を見せてもらう
土地を探すときは、できれば建築士と一緒に見に行くことをおすすめします。
代表的なチェックする項目は以下の通りです
・法規制
土地に対する建物の大きさの制限や、最高の高さ、防火に関する規定など、建物の形態を左右するだけでなく、コストにも大きく影響します。また地域独特の条例などで建築物に制限を受けることがあります
・土地の形状
間口が狭い、全面道路が狭い、段差、崖がある、などの場合は重機が入らない場合があるので注意が必要です
・インフラ状況
電気、ガス、上下水道の引き込み状況等の確認。特に水道、ガスは道路掘削工事が絡むので建築コストに大きくインパクトを与えます
・土地の成り立ち
地盤状況やハザードマップで土地の浸水リスクやがけ崩れに対するリスクなどを大まかに把握しておきましょう
⑤その土地で自分の要望が満たせるのか確認
土地を買う前にどんな建物が建てられるのか、プラン(平面図、立面図など)を書いてもらい確認しましょう
実際に建物を描いてみると、法規の制限が厳しくて部屋数が取れなかったり、思ったより庭が狭かった、などプランを通して見える土地の特性や魅力が見えてきます。プランを通して、自分の理想と選んだ土地が合致しているか確認しましょう
【まとめ】
家づくりは、土地探しから設計、施工まで一貫した視点で考えることが重要です。
特に土地購入は一度決めると後戻りができないため、建築士と一緒に検討することで失敗リスクを大きく減らせます。
家づくりに迷っている方はぜひ上記の手順を参考にしてみてください。



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